セミナーの開催費用、参加費用の勘定科目は?
2020.04.01
カテゴリ: セミナー・シンポジウム
セミナーを開催した、あるいはセミナーに参加した場合、セミナー費用を勘定科目ごとに仕分けて帳簿に記載しなければいけません。
ひとくちにセミナー費用といっても、会場費や講師への謝礼など、セミナーにかかる費用は様々です。その費用1つ1つを正しい勘定科目で処理する必要があります。
また、参加者にしても確定申告をする際に「どのような内容のセミナーなら経費に計上できるのか」「食費や旅費はどうなるのか」など、迷ってしまうことが多いでしょう。
そこで、この記事では、セミナーにかかる費用をどの勘定科目で処理すればいいのかを、主催者側と参加者側、それぞれのケースに分けて解説します。
1.セミナーにかかる費用とは?
セミナーにかかる費用は、主催者と参加者で項目が変わってきます。まずはセミナーにどのような費用がかかるのかを見てみましょう。
1-1.セミナー主催者の費用
下記はセミナー開催にかかる費用の一例です。
・司会、運営スタッフ、事務局スタッフの人件費
・集客費用
・講師への謝礼
・会場費
・録音や撮影ほか消耗品などの雑費
・配布物準備費
・当日の旅費や飲食費
・懇親会費
1-2.セミナー参加者の費用
一方、セミナーに参加する場合は、「セミナー受講料」の他に、
「飲食費」「旅費」「宿泊費」「教材費」「懇親会費」などがかかります。
2.セミナー開催にかかる費用の勘定科目
セミナー主催者が負担する費用は様々です。しかし、企業セミナーは定期的に開催する可能性が高いため、当日運営にかかる諸々の費用は「セミナー運営費」という勘定科目を作って処理するのがもっとも手っ取り早い方法です。
その上で、講師への謝礼や、懇親会費など、内訳を記す方式にすると今後の処理が楽になります。
また、社員の教育や研修、スキルアップを目的とした自社向けセミナーの場合(従業員を社外のセミナーへ参加させる場合も含む)、「教育訓練費」や「研修費」などの科目でも良いでしょう。
2-1.一度勘定科目を使ったら継続的に使用する
セミナーや研修会は開催の目的に従って勘定科目が異なります。例えば、社外向けのセミナーであれば「販売促進費」、社内向けのセミナーであれば「教育訓練費」といった具合です。
目的に適した勘定科目であればなんでもかまいませんが、1度定めた勘定科目はその後継続的に使用すべきという経理の原則(継続性の原則)があるため、計上する際には注意すべきです。
このため、基本的にはセミナー運営費や教育訓練費でまとめても良いのですが、これまでに別の勘定科目を使っていたのであれば、その勘定科目を変えてはいけません。
勘定科目については税理士によっても見解が異なるため、詳しいことは税理士に聞いてみることをおすすめします。
2-2.セミナー運営にかかる費用と勘定科目
主催者側が処理すべき費用は下記のようなものが挙げられます。
・集客費用|広告宣伝費
・司会、運営スタッフ、事務局スタッフの人件費|給与手当(人材派遣スタッフの場合は外注費)
・講師への謝礼|支払手数料
・当日の旅費|旅費交通費
・会場費、消耗品費、配布物準備費、飲食費|広告宣伝費、販売促進費(セミナーの目的によって異なる)
・懇親会費|接待交際費
3.セミナー参加にかかる費用の勘定科目
個人事業主の場合、自分の事業に関係のある内容のセミナー費用は経費として計上できます。
たとえ無料のセミナーであっても、セミナー会場に行くまでの旅費や交通費がかかります。これらも経費として計上できるので、忘れずにレシートや領収書を取っておきましょう。また、旅費や交通費は研修費とは別の勘定科目で処理するのがおすすめです。
セミナー費用を経費として計上できるケースと、できないケースの判断基準は、あくまでも「自分の業務や事業と関係があるかどうか」です。
下記がその一例です。
【経費として計上できるケース】
ECサイトを経営している人が物販セミナーに参加するようなケース。
【経費として計上できないケース】
自己啓発系のセミナーなど、事業と関係ない内容のセミナーに参加するケース。
【セミナー参加費の内訳】
・セミナー受講料・・・研修費
・教材費・・・新聞図書費(もしくは研修費に合算)
・旅費、宿泊費・・・旅費交通費
・飲食費・・・交際費
4.まとめ
この記事のポイントをまとめると、以下のとおりです。
・セミナー主催者は「セミナー運営費」で勘定科目をまとめるのがおすすめ
・セミナー参加者は「研修費」の勘定科目がおすすめ
・基本的にどの勘定科目でもいいが、セミナーごとに勘定科目をころころ変えないこと
セミナー費用の勘定科目の処理方法をシンプルにすることで、経理の引継ぎも楽になります。
セミナーを開催するたびに勘定科目をころころ変えるのは良くありません。セミナー費用を計上する際には勘定科目に一貫性を持ちましょう。
また、税理士によっても見解が異なるため、正解がわからない場合は聞いてみるのがおすすめです。
個人で帳簿をつけている人は、会計ソフトに最初から登録されている勘定科目を利用すると、迷わず科目を設定することができます。