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アウトソーシングとは? 派遣との違いやメリットをわかりやすく解説

2020.02.19

カテゴリ: アウトソーシング

人材不足が深刻化し、不安定な世界情勢の中、企業はビジネスリスクに備えた経営戦略への転換を迫られています。

 

そんな中、現代企業が抱える課題の解決策として注目を浴びているのが「アウトソーシング」です。

アウトソーシングとはいわゆる外部委託形態の一種ですが、単なる外注とは異なり、企業戦略に基づいた経営手法の1つです。

コスト削減や業務効率化、さらに各分野のスペシャリストを即時に利用できるといったメリットを持っている一方で、企業戦略に合致した計画を立てなければ失敗するリスクも存在します。

 

この記事では、アウトソーシングの定義や委託できる業務、契約形態、人材派遣との違い、メリットやデメリットまで網羅的に解説します。

 

 

1.アウトソーシングとは?

アウトソーシングとは英語で「outsourcing」といい、直訳すると「外部資源の活用」となります。

具体的には、「外部の専門業者に社内の業務の一部を委託すること」と定義することができます。

外部資源の活用には、従来から人材派遣、外注など多様な手法が存在しましたが、アウトソーシングはそれらとは似て非なるものであり、現代企業の課題を解決する「経営手法」として注目されています。

業務を受託して行う業者は「アウトソーサー」と呼ばれます。

 

1-1.アウトソーシングの目的

アウトソーシングとその他の外部委託形態との具体的な違いは、また後の章で述べますが、最も異なるのはその目的です。

従来、外注や人材派遣は社内生産のコストダウン化、あるいはリソース不足を補うための手段として活用されてきました。

しかし、アウトソーシングは業務の一部を外部に切り出すことにより、社内のリソースをコア業務に集中することを目的としています。

 

1-2.コア業務とノンコア業務

どのような企業にも、コア業務とノンコア業務が存在します。

コア業務とは「会社の利益を直接生み出す業務」であり、会社の根幹をなす領域といえます。

一方で、コア業務をサポートする様々な業務が「ノンコア業務」です。

コア業務の一例としては、営業や販売、商品開発などが挙げられます。一方で、総務や経理といった裏方作業がノンコア業務の代表といえるでしょう。

下記はコア業務とノンコア業務のそれぞれの特徴を比較したものです。

 

【コア業務】

・会社の利益を直接生み出す業務・非定型の業務
・専門的かつ戦略的な判断が必要な業務
・企業戦略や会社のブランド力に直結する業務

 

【ノンコア業務】

・会社の利益に直接関係しない業務
・定型的な業務
・誰でもできる業務
・会社戦略とは関係のない業務

 

 

コア業務は会社が手放してはならない企業の中心領域であるのに対し、ノンコア業務は外部に委託してもさほど支障がないことがわかります。

 

社内のリソースをコア業務に注力することができれば、企業のブランド力を高めることができます。コア業務の拡大、強化に投資していくことで、事業の生産性が向上し、企業の経営は安定的に成長していくでしょう。

 

しかしながら、実際には多くの企業が、社内リソースの大部分をノンコア業務に割かねばならないという課題を抱えています。

ノンコア業務はその性質上、常に一定数発生します。そのため、社員は山積みのノンコア業務の処理に追われ、コア業務はどうしても後回しにされてしまうのです。

 

1-3.アウトソーシングに向いているのはノンコア業務

このような状況を改善するのがアウトソーシングです。

定型的に発生し、コア業務を圧迫しているノンコア業務をアウトソーシングすることによって、社員は煩雑なノンコア業務から解放され、本来取り組むべきコア業務に従事することが可能になります。

ノンコア業務は比較的ルール化やマニュアル化がしやすい業務であり、適切な手順で行えば、社外に切り出すことが可能です。

このため、アウトソーシングの成功のカギを握るのは、コア業務とノンコア業務の見極めだといえます。

 

2.アウトソーシングの契約形態

アウトソーシングをする際には、委託者はアウトソーサーとの間に業務委託契約を結びます。

ただし、業務委託契約という法律上の用語は実際には存在しません。

アウトソーシングにおいては、厳密にいうと「準委任契約」と「請負契約」という2種類の委託形態が存在します。

 

2-1.準委任契約とは?

準委任契約とは、法律以外の事務を委任する契約形態のことを指します。

準委任契約において受託者に求められるのはあくまでも業務の遂行であり、成果物の提出ではありません。受託者は誰の指揮下にも入らず、自己の道具を使い、決められた範囲の事務処理を行えば、対価を受け取ることができます。

 

テレアポ(営業活動)を行うコールセンターで例えるならば、指定の範囲の営業活動を行った時点で報酬が発生するのが準委任契約です。

営業によってもたらされた成果は報酬には関係ありません。

 

 

2-2.請負契約とは?

請負契約とは、成果物の提出に対して対価を支払う契約形態のことです。準委任契約とは異なり、委託者は成果物と引き換えに報酬を支払います。

また、提出された成果物が委託者の完成基準を満たしていなければ、委託者は受託者に報酬を支払う義務はありません。

さらに、委託者は成果物に欠陥がある場合、受託者に対して補償や損害賠償を請求することもできます。

 

コールセンターで例えるならば、請負契約の報酬形態は「営業活動によって発生した売上の〇%」というような形となります。

受託者はコールセンターを稼働させるだけでなく、営業活動により一定の売上を発生させなければ、報酬を受け取ることができません。

 

3.アウトソーシングと人材派遣との違い

第1章で、アウトソーシングの目的を「業務の一部を外部に切り出し、社内のリソースをコア業務に集中すること」と説明しました。

それでは、従来の外部リソース活用法である「人材派遣」とアウトソーシングは、いったい何が違うのでしょうか?

 

アウトソーシングと人材派遣との最も大きな違いは、「業務を社外に切り出すかどうか」だといえます。

人材派遣では派遣会社から人材を供給してもらい、派遣社員が働いた労働時間に対して対価を払います。「業務を社外に切り出す必要はないが、今現在人手が足りない」というニーズを満たすためのサービスであり、即座に人員を補充して適材適所に配置できる点がメリットだといえます。

ただし、派遣社員の教育やマネジメントは全て企業が行わなければなりません。

 

一方、アウトソーシングでは業務そのものを外部業者に依頼し、指定された仕事の遂行に対価を払います。

切り出す業務範囲の共有やルール策定など、導入するまでには時間がかかりますが、委託後は社内におけるマネジメントの負担を大幅に減らすことができます。

課題となっている業務量が少なければ人材派遣で解決できる場合がありますし、反対に業務量や業務範囲が大きいのであれば、アウトソーシングが向いています。

 

このように、人材派遣とアウトソーシングは性質の異なるサービスであり、それぞれの得意分野を理解して活用する必要があります。

 

4.なぜ今アウトソーシングなのか?

アウトソーシング市場は年々成長しています。

2017年度の調査では、人事・総務関連業務のアウトソーシング市場規模は、前年比19.3%増の8兆2,396億円に達しています。この市場には人材派遣、人材紹介等のサービスも含まれており、企業が外部委託の活用に積極的になっている世情が見て取れます。

アウトソーシング市場が伸びている背景には「人材不足」と「企業の経営戦略の変化」がある、といわれています。

 

4-1.人材不足を補う経営戦略

近年、少子高齢化が進む中で労働力人口が減少し、国内企業の人材不足が深刻化しています。

2065年には、2016年と比較して労働力人口が4割減少するという見通しも立てられているほどです。

特に中小企業における人材不足は深刻であり、企業はより徹底したコスト削減の必要に迫られています。

このような中で、人的リソース不足を解消しつつ、業務改善によるコスト削減を期待できるアウトソーシングサービスに大きな注目が集まっているのです。

 

4-2. 企業の経営戦略の変化

人材不足に加えて、企業の経営戦略が変化してきていることもアウトソーシング市場を押し上げる要因となっています。

価値観やニーズが多様化し、消費者行動が目まぐるしく変化する現代。世界情勢も不安定で予断を許さない状況が続いており、国内企業はビジネスリスクに対して備える経営戦略に取り組み始めています。

そのうちの一つが「経営の多角化」です。

多角化経営には、一方の事業が赤字であっても、他の事業で補えるというリスク分散のメリットがあります。

しかしながら、経営の非効率化や、新規市場で成功するための新たなスペシャリストが必要となる、といったデメリットも存在します。

業務の拡大によって非効率化する経営をスマートにし、新規市場における専門的ノウハウを即時に活用できる経営手法の1つとして、アウトソーシングサービスが存在感を増しているのです。

 

参考資料:https://the-owner.jp/archives/963

http://branding-academy.jp/brand/457/

 

5.アウトソーシングのメリット・デメリット

実際にアウトソーシングを導入するメリットやデメリットを見てみましょう。

 

5-1.アウトソーシングのメリット

5-1-1.コア業務に集中することで企業の生産性が向上する

先にも述べたように、アウトソーシングの最大のメリットは、企業のリソースをコア業務に集中できることです。これによって、企業の核となる事業の生産性が向上させることができます。

 

5-1-2.業務効率化を図ることができる

ノンコア業務は往々にしてルーティーン化され、作業が非効率的になりがちです。そのような業務をアウトソーサーに委託することで、煩雑になっていた業務が見える化され、問題点をあぶりだすことができます。

結果として、アウトソーシングはコア業務の強化にとどまらず、ノンコア業務の業務効率化につながります。

 

5-1-3.業務コストを最適化できる

自社で業務を行う場合、人件費や施設管理費といった固定費が増大し、経営を圧迫します。ところが、アウトソーシングした業務にかかるのはアウトソーサーに支払う報酬のみとなります。これは生産量に応じて調節できる「変動費」であり、業務コストを最適化できます。

 

5-1-4.専門的な業者のパフォーマンスを即座に活用できる

アウトソーサーはその分野に特化した専門業者であり、蓄積されたノウハウと高い業務遂行能力を持っているため、サービスの品質が向上します。

また、一から新規事業や部門を立ち上げる際には社員育成や施設拡張といったコストがかかります。アウトソーシングを活用することで、それらのコストをカットしつつ、最初から高い品質のサービスを供給できます。

 

5-2.アウトソーシングのデメリット

5-2-1.社内にノウハウが蓄積されない

業務を社外に切り出すため、そのノウハウを自社に蓄積できないのがアウトソーシングのデメリットです。

このため、必然的にアウトソーシングするのはノウハウを蓄積する必要がない業務に限られます。

また、アウトソーサーがサービスの提供を停止したり、倒産したりした場合、社内にノウハウが蓄積されていないことによって、社内がマヒ状態に陥る危険性も考えられます。

 

5-2-2.情報漏えいの危険性

社内の業務を社外に持ち出すわけですから、当然情報が漏えいする危険性が伴います。

アウトソーシングできる業務の中にはコールセンターやマイナンバー管理、ITシステム運営などが挙げられますが、これらはいずれも従業員情報や顧客情報、企業機密の情報等を含んでいます。

万全のセキュリティ体制を敷いていると謳っているアウトソーサーであっても、そのリスクは決してゼロにはなりません。

委託者は強固なセキュリティ体制を敷いているアウトソーサーの選定、情報連絡体制の構築といった対策を取り、情報漏えいのリスクを抑える必要があります。

 

5-2-3.経営戦略に基づいていないと失敗する

アウトソーシングを成功させるには、課題の洗い出し、適切な業務の切り出し、社員とのコミュニケーション、アウトソーサーとの緊密な連絡など様々な要素が必要であり、周到な計画を立てなければなりません。

経営戦略を無視して、「あの業務が大変だから委託しよう」といった気軽な動機でアウトソーシングを行うと、社内外に様々な支障をきたし、アウトソーシングは失敗に終わってしまうでしょう。

 

6.アウトソーシング業務の種類

アウトソーシングのメリットを得やすいのは、ルーティンワークなどのノンコア業務や、運営に専門的知識が必要となる業務ですが、売上に関係する業務をアウトソーシングする事例も増えています。

下記に主なアウトソーシングの種類を紹介します。

 

6-1. ITアウトソーシング

IT分野のインフラ構築や設計、またシステムの運用を外部委託するのがITアウトソーシングです。

IT化が進み、ITの専門知識が必要とされる中で、ITを専門的に扱うアウトソーシングサービスの需要は日々増しています。

アウトソーシングする範囲は主に下記の4つに分けることができます。

 

6-1-1.フルアウトソーシング

インフラ構築からシステムの運用まで、一括でアウトソーシングする形態のことを指します。

 

6-1-2.運用アウトソーシング

システム運用とメンテナンスのみアウトソーシングする形態です。

 

6-1-3.ハウジング

アウトソーサーが提供するデータセンターを間借りして、企業のサーバーを置かせてもらうのがハウジングです。サーバーの運用・保守を委託することもできるため、セキュリティなどの面から、自社にサーバーを置くコストやリスクが高い際に有効です。

 

6-1-4.ホスティング

アウトソーサーのレンタルサーバーを利用する形態です。

 

6-2.コールセンターのアウトソーシング

コールセンターは業種によって部門が異なる業務ですが、アウトソーシングのメリットが多い部門といえます。

コールセンターには、大きく分けて顧客対応を行うインバウンド業務と、営業活動を行うアウトバウンド業務があります。

コールセンターの設置には人件費、導入コスト、ランニングコストがかかるため、アウトソーシングすることでコスト削減を期待できます。

 

6-3.人事系アウトソーシング

ルーティンワークや専門知識が求められる分野でもあることから、人事系業務のアウトソーシングも盛んに行われています。

アウトソーシングに向いている人事業務としては、給与計算、勤怠管理、採用支援、人材育成(社員研修やスキル・資格取得支援)、社会保険管理、人事情報システム構築などが挙げられます。

特に、採用競争が激しい昨今、採用業務をアウトソーシングして優秀な人材の確保に努める企業が多くなってきています。

 

6-4.総務系アウトソーシング

社員が働きやすい環境を整える働きが総務です。会社全体の管理や運営に関わる業務をつかさどる部門ということができます。

備品の発注・管理、オフィスの保全・管理、社内規定の作成や更新、社内イベントの企画・運営、来客の受付・対応、株主総会の運営など、その業務範囲は幅広く多彩です。

社員の負担となっている業務を適切に切り出してアウトソーシングすることで、限られた経営資源を有効活用することができます。

 

7.まとめ

アウトソーシングはコア業務への集中、コスト最適化、業務効率化を図ることができるサービスとして注目を集めている外部委託形態です。

IT業務から人事、総務、コールセンターまで、幅広い業務がアウトソーシングの対象となりますが、コア業務の選定を間違えると、社内に様々な弊害をもたらします。

 

あくまでも企業戦略に基づいて行われる経営手法であるという認識を崩さず、綿密な準備を練ることが成功の秘訣だといえるでしょう。