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市場が成長している施設管理の基本情報や事業者、求人は?

2020.02.04

カテゴリ: 施設管理

 

施設管理とはどのような業務のことを指すのでしょうか?

 

オフィスやホテル、飲食店といった商業施設から、博物館、美術館、コミュニティセンターといった文化施設まで、施設には様々な種類があり、その用途は様々です。

施設管理とは、それら施設のあらゆる機能を管理し、快適な環境として維持する業務のことを指します。

現在では単に設備を管理するだけでなく、経営に最適化された建物のあり方を考える「ファシリティマネジメント」という経営手法が注目されており、施設管理のニーズが多様化しています。

モノとモノをインターネットでつなげるIoT技術の活用も相まって、施設管理市場は今後ますます成長していく分野であるといえます。

 

この記事では、施設管理の定義や業務といった基本的な内容から、施設管理に必要な資格やスキル、さらには求人情報に至るまで解説します。

市場が発展している背景まで網羅的に解説しているので、施設管理への理解を深める助けとなれば幸いです。

 

1.施設管理とは

施設管理とは、施設のあらゆる機能を管理し、不備なく快適な状態を維持するための業務全般を指します。

 

1-1.施設管理の業務とは

施設管理業務を大別すると、「設備管理」「清掃管理」「保安管理」の3つに分けることができます。

 

・設備管理

施設の各種設備を維持管理する仕事です。

施設には空調、電力、給排水、防災、生産機械など様々な設備があり、これらが不備なく運転できるように管理します。また、駐車場やプールなどのスポーツ施設、さらには昇降機(エレベーターやエスカレーター)等も設備に含まれます。

具体的な仕事内容としては、設備の点検、劣化診断、メンテナンス、清掃、部品交換、動作監視、修繕計画などが挙げられます。

 

・清掃管理

施設の衛生環境を維持管理する仕事です。

日常的な清掃から、月・年単位の定例清掃まで、様々な清掃業務を行って利用者が快適に過ごせる環境を整えます。

また、ゴミや廃棄物の処理なども業務内容に含まれます。

 

・保安管理

各施設の秩序維持・防犯・防災などを統括する仕事です。巡回警備なども業務内容に含まれます。

 

1-2.ファシリティマネジメントの普及

近年、施設管理を経営活動の1つとして位置づける「ファシリティマネジメント」という考え方が普及してきました。

経営資源には「ヒト・モノ・カネ・情報」の4つがありますが、これに「建物」を加えた5つの経営資源をどのようにマネジメントしていくかが、今後の企業の課題として挙げられています。

 

1-3.ファシリティマネジメントと施設管理の違い

公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会では、ファシリティマネジメントを下記のように定義づけています。

 

(引用:ファリシティマネジメントとは、ファシリティ(土地、施設、構築物、設備)を経営にとって最適な状態で保有し、賃借し、使用し、運営し、維持するための総合的な活動です。

参考URL:http://www.jfma.or.jp/whatsFM/

 

ファシリティマネジメントが従来の施設管理と異なる点は、単なる維持や保全にとどまらず、「施設をどのように有効活用していくか」という視点で施設管理を戦略的に行っていくところにあります。

 

上記で解説した設備管理・清掃管理・保安管理等はあくまで現場での管理がメインですが、ファシリティマネジメントは経営面から施設の運用にアプローチします。

施設管理の目的が「建築時の状態への復旧・維持」であるとすれば、ファシリティマネジメントは「建築時よりさらに使いやすく、経営に最適化された建物のあり方の模索」であるといえます。

ファシリティマネジメントを活用することで、社員のモチベーションの向上、生産性の向上、施設管理コストの削減、建物の長寿命化、顧客や社員といった利用者にとって快適で魅力的な環境づくりといった様々なメリットが得られます。

 

1-4.ファシリティマネジメントの導入実例

日本ファシリティマネジメント協会では、定期的にファシリティマネジメント大賞を実施し、ファシリティマネジメントを導入した企業の実例を公開。優れた改革を行った企業を表彰する取り組みを行っています。

第3回のファシリティマネジメント大賞受賞者として名を連ねているソニー株式会社を例に、ファシリティマネジメントの効果を見てみましょう。

ファシリティマネジメントを導入したソニーは、各地に分散している拠点を統廃合し、6000人規模の社員を集結。本社オフィスを中心として施設の在り方を再構築しました。

オフィスは複数の部署に対応したベンチテーブル型とし、低層部には社員の交流を促進させるためのコミュニケーションゾーンを設置。

これにより、各地に分散されて非効率的だったオペレーションの効率アップと、年間数億円規模のファシリティコストの削減に成功しました。

 

(参考URL:http://www.jfma.or.jp/award/03/pdf/paneldata10.pdf

 

2.施設管理市場の成長性

施設管理市場は安定した拡大が期待されており、高い成長率を見せています。

某企業の試算によると、国内の施設管理市場は約6.7兆円、中国・ASEANでは約24兆円というデータが出ています。

世界的に見ると、2018年の市場規模は346億5000万米ドル。2023年までには593億3000万米ドルまで成長する見通しで、CAGR (複合年間成長率)で見ると、11.4%という高い数値を示しています。

市場拡大の背景には、ファシリティマネジメントとIoT(モノのインターネット化)の普及が要因として挙げられるでしょう。

 

これにより、従来の施設の維持管理というニーズに加えて、「建物の有効活用」「維持費のコストダウン」「施設管理のIoT化」といったニーズが生まれ、市場が拡大しているといえます。

 

(参考URL:https://www.aeondelight.co.jp/ir/individual/market.html

 

2-1.建物の有効活用

今までは、施設管理において重要視されていたのは「施設の維持管理・保全・修繕」といったハード面における管理でした。

しかし、近年では単なるハード面の管理でなく、いかに施設を有効活用し、社会にとって有益な場所にするかというハード・ソフト両面を取り扱うファシリティマネジメントの考え方が重要視されてきています。

そのようなニーズの例として、「使われていない建物をレンタルスペースとして商用利用したい」「オフィスの機能性を高めて社員が能率的に働けるようにしたい」等が挙げられるでしょう。

 

2-2.維持費のコストダウン

施設のライフサイクルコスト(建設してから解体するまで)を見ると、建設費等のイニシャルコストが30%弱なのに対し、維持費であるランニングコストが70%を占めています。

上記の内容を踏まえて、ファシリティマネジメントにおいては、維持費をコストダウンして建物を長持ちさせる観点から、省エネ設備や太陽光パネルといった創エネ設備の活用、断熱構造の改善などのニーズが取り上げられています。

 

2-3.施設管理のIoT化

ファシリティマネジメントに加え、IoT、つまり「モノのインターネット化」の普及を受けて、施設管理のニーズが多様化。

マルチデバイスで監視できる防犯システム、会議室の予約を一元的に管理できる予約管理システム、無人対応可能な受付システムなど、高機能な設備が多く開発され、導入を検討する企業が増えています。

 

このように、「建物の有効活用」「維持費のコストダウン」「施設管理のIoT化」という3つのニーズが生まれ、経営における施設管理の位置づけの変化が、施設管理市場の成長要因を形作っているといえるでしょう。

 

3.施設管理に必要なスキルや資格

この章では、実際に施設管理業に従事する際に必要となる資格を紹介します。

施設管理の職につきたいのであれば、基本的に資格は不要です。

ただし、施設管理には優れた観察眼と技術、知識が必要であり、必然的に企業は有資格者を求めます。

ここでは、施設の維持保全といったハード面において必要な資格と、ファシリティマネジメントの視点から施設管理を行う際に必要な認定資格について紹介します。

 

3-1.「ビルメン4点セット」

一般的に施設管理の仕事を「ビルメンテナンス」、略して「ビルメン」と呼びます。

ビルメンといっても、その意味するところはビル管理だけでなく、オフィス、病院、ホテル、店舗と幅広い形態を指します。

施設によって設備のシステムが異なるため、一概には言えませんが、下記4つは「ビルメン4点セット」と呼ばれており、施設管理者に求められる基本的な資格といえます。

 

・第二種電気工事士

・危険物取扱者・乙種

・二級ボイラー技士

・第3種冷凍機械責任者

 

・第二種電気工事士

電気工事士法の規定により、コンセントの取り換えといった基本的な電気工事を行うことができる資格です。一般家庭や小規模な店舗において、600ボルト以下の工事に従事することができるようになります。

 

・危険物取扱者・乙種

消防法の規定により、燃料類の取り扱いが許される資格です。

乙種の中にも1類~6類があり、それぞれに扱える危険物が異なりますが、中でもビルメンに重宝するのがガソリン、灯油、軽油、エタノールなどを扱える乙種4類です。

 

・二級ボイラー技士

労働安全衛生法の規定により、冷暖房や給湯機などのボイラー機器の取り扱いができるようになる国家資格です。特級~三級まであり、どの級でもすべてのボイラーを取り扱うことができますが、作業主任者になるためには二級以上が必要となります。

二級ボイラー技士は伝熱面積の合計が25㎡未満のボイラー作業主任者になることができます。

 

・第3種冷凍機械責任者

高圧ガス保安法の規定により、冷凍機器の取り扱いが許される国家資格です。

冷凍庫等を備える施設において有利な資格といえます。

 

3-2.「3種の神器」

ビルメン4点セットの上位資格として「3種の神器」と呼ばれている資格があります。それが下記の3つです。

 

・第三主電気主任技術者

・エネルギー管理士

・建築物環境衛生管理技術者

 

・第三主電気主任技術者

「電験三種」と呼ばれる国家資格で、電気設備の保安監督になることができます。上記で紹介した電気工事士を監督する立場であり、電気監理技術者として独立開業が目指せる将来性のある資格ですが、その分合格率も厳しいものとなっています。

 

・エネルギー管理士

工場や事業所など大規模なエネルギーを扱う施設において、管理となれる資格です。規定量以上のエネルギーを使用する施設ではエネルギー管理士を選任しなければならず、そのような管理者はエネルギー管理士の「独占業務」といえます。

 

・建築物環境衛生管理技術者

「ビル管理技術者」「ビル管理士」「ビル管」などと呼ばれる資格です。面積3000㎡(学校施設の場合は8000㎡)以上の建物にはこの資格保有者の配置が必須であり、建物の衛生環境の維持管理を担当します。

 

(参考URL:https://kensetsutenshokunavi.jp/c/content/job_guide/job_guide_24/

 

3-3.認定ファシリティマネジャー資格制度

公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会、一般社団法人ニューオフィス推進協会、公益社団法人ロングライフビル推進協会の3団体が協力して実施しているのが「認定ファシリティマネジャー資格制度」です。

平成9年から始まったこの資格制度は、上記で紹介した実際的な施設管理に関連する資格とは異なり、建物における企業の課題と目標を明確にし、計画の策定、実行、調査、評価を統括するファシリティマネジャーを認定するためのものです。

 

4.施設管理を本業としている企業も存在する

施設管理の代行を専門としている企業は多数存在します。

とはいえ、その管理形態や規模は多彩であり、現代の多様なニーズに合わせて様々なビジネスが生まれていることがわかります。

 

4-1.施設管理業者が取り扱う施設の規模

施設管理業者ごとに、管理を行う規模は様々です。

ビルやホテルといった比較的大きな建物の管理を代行する業者から、ホールや美術館といった公共施設、店舗、収益物件、社宅、また最近流行りの貸し会議室やレンタルスペース、民泊といった小規模な施設の管理代行までさまざまな業者が存在します。

また、清掃のみなど、業務の一部だけを代行する業者もあります。

 

4-2.施設管理業者が行う業務とは

施設管理業務は、ハード面を管理する「ビルマネジメント」(通称BM)、ソフト面を管理するプロパティマネジメント」(通称PM)、収益に関するアドバイスを行う「アセットマネジメント」(通称AM)の3つに大別することができます。

BMの一般的な業務には、保安警備、清掃、設備管理、修繕、環境衛生管理等が挙げられます。

一方、収益物件において賃貸借契約や賃料の回収、クレーム対応といった業務を代行するのがPMです。

AMは業務の代行というよりは、ビルやホテル、不動産等収益物件の収益性を改善するアドバイスを行うコンサルタントに近い役割を果たします。

施設管理業者を比較する際には、上記の3つ、BM、PM、AMのいずれのサービスを提供しているかに注目してみましょう。

 

(参考URL:https://www.meccs.co.jp/column/16/

 

5.施設管理の求人

施設管理についての求人は、「企業の施設管理部門からの求人」と、「施設管理を本業としている業者からの求人」の2つに大別することができます。

求人情報を検索できるindeedにて、東京で「施設管理」「正社員」の条件で検索すると、5万件を超える求人がヒットしました。

 

主な就業場所はオフィスビルや医療機関など。ホテルやごみ処理廃棄場の施設管理も多くなっています。

正社員の月給は20万前後から45万円ほど、年収で見ると500万~600万ほどです。

相場としては、施設管理スタッフは月給20万~25万ほど、施設管理マネジメントの立場になると、月収25万~35万ほどのようです。

必要なスキルや資格を見ると、「ビル管理経験者優遇」とする募集が多く見受けられました。

 

 

その他、当記事で紹介した「ビルメン4点セット」や「3種の神器」の保有者であることが条件(あるいは優遇)の募集もありますが、警備員に関する資格保有者を求める募集も見受けられました。

未経験から採用するとの求人も多くありますが、「入社後に資格取得を目指してもらう」という傾向が強いようです。

一方、「施設管理」「アルバイト」の条件で検索すると、13000件を超える求人がヒット。

施設の消灯や各部屋の施錠、見回り、清掃といった軽作業が多く、募集要件を見る限りでは、比較的働きやすい環境といえそうです。

アルバイトから正社員まで、様々な形態の求人が出されていますが、施設管理の1つである「警備業務」は法律において派遣が禁止されているため、派遣社員としての求人は出ていません。

 

6.まとめ

ここまで、施設管理について解説してきました。

施設管理市場は年々拡大しており、今後も高い成長が見込まれる市場であるといえます。

その背景には、施設管理の内実が「建物の建築時の機能維持」から、「経営に最適化された建物のあり方の模索」へ移行していることが挙げられます。

これまで一般的だった施設の保全・維持などの管理業務は、施設管理というジャンルのあくまで「一部」となりつつあり、今後はより経営的観点から見た戦略的な施設運営が必要とされてくるでしょう。

 

それに伴い、施設管理の代行業者にも多様性が生まれてきています。これまでにも設備管理・清掃管理・保安管理といった業務が外部委託されてきましたが、使われていない会議室をレンタルスペースとして運営する代行業者など、ニッチなニーズに応えるサービスがどんどんと生まれています。

少子高齢化に伴い、働き手不足が叫ばれる中で、企業の経営戦略に合致した施設管理のアウトソーシングが、より一般的な経営手法となっていくでしょう。